乗務員に対する安全教育・訓練
乗務員に対して運転操縦の他、様々な場面・事象に対応できるよう教育・訓練を行っています。
基本動作による安全確認
全乗務員が「発車時の確認」をはじめとして、事故を未然に防止するため、運行中は指差し喚呼による安全確認(基本動作)を実施し、ヒューマンエラー防止を強力に推進しています。
右折時の死角確認の徹底、左折時の一旦停止確認の実施
交差点での死傷事故防止を目的として、右折時の死角確認や左折時の一旦停止確認を行っています。車体による死角が発生しやすい右折時には、体を大きく傾けて「死角の覗込み確認」を実施しています。また、左折時は特定箇所(※)を除き、横断者の有無にかかわらず横断歩道又は自転車横断帯の手前で必ず一旦停止し、安全確認を行ったうえで通過する取扱いを実施しています。これらの安全確認を徹底して行うことで、見落としなど確認不足による事故防止を図っています。
- (※)左折時の一旦停止確認を除外する特定箇所
- ・横断歩道及び自転車横断帯が無い交差点を左折するとき
- ・車両・歩行者分離信号設置の交差点を左折するとき
安全運転のポイント(重要5項目の実施)
重大事故撲滅のため、走行中に乗務員が守るべき安全運転のポイントを5つの項目にまとめ、徹底しています。
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安全運転5項目
- 【1】運転中は、ほか事を考えず、前方注視を確実に行うなど、運転に集中
- 【2】速度に応じた車間距離
- 【3】法定速度を厳守
- 【4】道路状況に応じた防衛運転
- 【5】眠気を催した場合は、最寄りのサービスエリア等に必ず停まる
乗務員への訓練
お客様に安全・安心・快適なバス運行をご提供するため、安全運転に対する知識、技術や意識を高め、事故の未然防止に努めるとともに、万一の際には様々な場面に適切に対処できるように、教育・訓練を実施しています。
定期訓練
乗務員全員を対象に定期訓練を実施し、「法令や社内規程の確認」「事故事例の活用」「運転実技による要注意作業の共有化」などを行い、事故防止の意識向上を図っています。
訓練では、グループディスカッションや実車での体感訓練を通じて、「より安全なバス運行」について乗務員が自ら考え、議論し、参画する、参加・体感型の訓練を実施しています。
異常時への対応訓練
車両火災、バスジャック、災害対応など、万一を想定した乗務員全員対象の個別異常時対応訓練を毎年実施しています。
加えて、愛知県警と連携した臨場感あるバスジャック訓練や、臨時便で実際の運行経路を走行しての大規模災害訓練を定期的に実施し、さらに実践に即した内容の訓練を行っています。
車両火災訓練
バスジャック訓練
大規模災害訓練
新任者には約2ヶ月にわたる訓練と社内審査を実施
採用後の新任運転士が高速バスに乗務するには、高速乗務員養成訓練を終了し、社内審査に合格しなければ営業運転に従事できません。
新任運転士が独り立ちしてから、安全に乗務を継続できるように、この期間は、知識・経験の豊富な指導運転士が常に懇切丁寧に指導します。
初任運転者に対して行う必要のある添乗による安全運転の実技指導
技能担当講師による公私にわたるサポート
指導運転士からの懇切丁寧な指導に加えて、当社独自の新任者サポート体制として「技能担当講師」を指定し、新任運転士を公私にわたり手厚くバックアップします。
技能担当講師は、現在内勤で乗務員指導業務に携わっている「運転の大ベテラン」が担当します。指導運転士が「コーチ」なら、技能担当講師はいわば「監督」。見習運転士が思うように技量が獲得できなかったり、壁に当たった時に、なんでも相談に乗り、公私にわたりサポートしてくれる頼もしい存在です。
独立ち後のフォローアップ研修
新任乗務員が営業運転に従事開始した後、1,3,6,12ヶ月の各時期で、体感訓練装置等を活用した運転に関する知識・技術や安全意識向上を目的としたフォローアップ研修を実施し、新任者の技能向上を図っています。
同じ時期に独り立ちした運転士と切磋琢磨しながらも、楽しく技量向上を図ることで、知識や技量の向上のみならず、共に働く仲間との親睦や絆も深めることができる、充実した訓練会を開催しています。
高齢の乗務員に対する「身体特性の変化に気付く研修」
高齢の乗務員の定義は、法令では「65歳以上から」となっていますが、当社では55歳以上の乗務員を対象として、自分自身の身体特性の変化に「気づき、向き合い、考え」「明日からの乗務に活かす」教育を実施し、年齢を重ねても、安全運転を確かなものとするための研修を実施しています。
55歳以降、段階的にフォローの内容を手厚くする研修体系とすることで、当社独自の充実したフォロー体系を構築しています。
雪上訓練
毎年、雪のシーズン前に新任乗務員を中心に雪上訓練を行っています。雪道での走行を体験するのに加えて、チェーンの脱着を実際に行い、運転技術の向上に努めています。
運転適性診断の実施
3年毎に全乗務員に対して運転適性診断を受診させ、自身の特性データに基づいて個別指導を行っています。
専門機関での安全講習受講
新任者や、新任者の指導育成を行う指導員を中心として、安全運転指導を行う専門機関での研修に乗務員を参加させ、安全運転技術の向上を図っています。
安全運転中央研修所
クレフィール湖東
訓練車による訓練
乗務員訓練車は、運転データ集録システム等を搭載し、専任の指導員が乗務員の各種走行データをその場でチェックすることで、乗務員の感覚的な行動と実際の行動との差を動画や数値で確認することができます。また乗務員の目の動きを映像化し運転中の注意配分を確認することができるアイマークレコーダを装着し、運転動作の指導を行います。
訓練車の外観
運転データ集録システム
運転中のアクセルやブレーキの開度、ギア位置、車間距離、側方距離などの各種走行データを集録し、乗務員の姿勢映像、視点の動向を記録して指導します。
アイマークレコーダ
帽子型ヘッドセットを装着し乗務員の目線の動きを映像化し安全確認状況等を確認します。
乗務員の視点は画面内「+」白マークで表示され、指導員は、その表示を基に指導します。
サラウンドアイ
車体の前後左右に取り付けたカメラの映像を合成処理し、俯瞰映像を映し出す装置です。左右ミラーの死角など車体周辺の状況を補うことができ、車体感覚を視覚的に身に付ける指導をします。
※サラウンドアイは、クラリオン㈱の商標登録商品です。
ミーティングスペース
車両後方のミーティングスペースで収録した運転走行データをもとにその場で指導します。
ヒヤリハット事例を活用した危険予知能力の向上
運転中にヒヤッとしたり、ハッと気づいて事故に至らなかった事例をヒヤリハット事例として乗務員から募集し、定期訓練会などを通じて水平展開を行い、事故防止を図っています。
運転競技会
各支店での二回の予選会を勝ち抜いた選抜メンバーにより、安全運転技術を競い合う「運転競技会」を毎年開催し、乗務員の安全運転意識や技術の向上による事故防止を図っています。